アンチ『Unbroken』本の虚構に反論する 第1回
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本のタイトル |
著 者 |
略 記 |
形式 |
Unbroken | Laura Hilenbrand | Unbroken | P |
Devil at my heels | Louis Zamparini David Rensin |
Devil | E |
Don't give up, Don't give in | Louis Zamparini David Rensin |
Don't | E |
日本軍は本当に「残虐」だったのか 反日プロパガンダとしての日本軍の蛮行 |
丸谷元人 | 日本軍 | P |
Prisoner of the Japanese from Changi to Tokyo |
Tom Henling Wade | Prisoner | E |
おかわいそうに 東京捕虜収容所の英兵記録 |
Lewis Bush | おかわいそうに | P |
16ページに日本軍の人肉食に関する記述に対する指摘がありますが、これはすでに週刊誌などの記事に関して指摘したことと同じく内容なので省略します。
初回は言葉使いの問題を指摘します。
『日本軍』14ページ
その後ザンペリーニ氏は、大船や大森、直江津といった日本国内の捕虜収容所に入れられ、その過程で日本軍看取からの凄まじい虐待を受けた結果、終戦後アメリカに帰国しても長らくその記憶に苦しみ、心的ストレス症候群(PTSD)を発症する。(後略)
「心的外傷ストレス症候群」という医学用語は存在しません。正確には「心的外傷後ストレス障害」です。「心的外傷ストレス症候群」なら略語は「PTSD」ではなく、「TSS」となるべきですし、そんな略語も存在しません。引用文中にあるように「心的外傷後ストレス障害」は発端となる出来事から長期間経ってから現れる心的問題であり、それを理解していたら書き間違えないことです。
『Unbroken』15ページ
(前略)読み手が最も感情的になるのは、捕虜たちから「バード」とあだ名された大船捕虜収容所の渡辺ムツヒロという陸軍伍長が、狂気のごとくザンペリーニ氏を虐待し続ける場面だろう。(後略)
渡辺ムツヒロの氏名は正確には「渡邊睦裕」です。また、彼は後に軍曹に昇進し、直江津捕虜収容所に転勤となりますが、ザンペリーニは後に大森から直江津に移送され、渡邊と再開します。ザンペリーニに深く関わる人物の名前が不適切な表記であり、昇進にも触れていないという点で、あまりにも不親切な記述だといえます。
「読み手が最も感情的になるのは」の部分は丸谷の想像であり、検証したとは書かれていません。想像を膨らませて結論を出すやり方が丸谷の特徴なので、頭に入れておいてください。第一、この本はドキュメンタリーであり、丸谷が言うような感動的な読み物ではありません。著者ヒレンブランドは視覚的に美しい文章を用いますが、長期間の取材、資料収集に基づいた客観的な記述に努めたといえ、これらの点で成功しています。