検証報告 日本軍は捕虜待遇の問題を自覚していた
2015.8.7 日本軍が捕虜へ劣悪な対応をしたことを自覚していることを示す資料が見つかりました。 国立公文書館アジア歴史資料センター(http://www.jacar.go.jp/)に収録されている「終戦事務連絡委員会議事項第14号」(レファレンスコード C15011000500)の記述です。 この書面は昭和20年10月6日付けで軍務課が出しています。該当部分のみを分かりやすい表記にして示します。
日本軍は占領軍からの通告を受け、終戦処理を担当する各部門への連絡の中で、このような通告を行ったようです。 大森捕虜収容所は日本の捕虜収容所としてすでに知られており、戦争犯罪者をここへ収容することで占領軍が宣伝効果を高めようとしていると日本軍は認識していました。実際、大森捕虜収容所は赤十字社の視察用に整備されていて、収容所の中では最も待遇が良かったはずなのですが、それを逆に宣伝のために利用されてしまったというわけです。 日本軍が劣悪な環境で捕虜を待遇したため、占領軍はこれを改善し、模範を日本に示す意向があったようです。第一次世界大戦で日本がドイツ兵を捕虜にした時は、こうした問題は起きていませんでした。 特に、食事についてはアメリカが準備すると書かれていて、占領軍は日本に任せる気がなかったことが分かります。連合軍捕虜の食事は慢性的にカロリー不足でした。当時のジュネーブ条約では捕虜を管理する部隊と捕虜の食事は同一と定めていました。国内で捕虜を管理していた近衛部隊は一日の摂取カロリーを3,400カロリー(主食800カロリー、副食1,200〜1,600カロリー、その他)としていました(近衛歩兵第一聯隊歴史 下巻 p474)。捕虜にも同じ食事を与える必要がありましたが、守られていませんでした。 ここまで率直に非を認める書面が出てきたことには衝撃を受けます。 |