2011年6月の投稿

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投稿者:匿名希望
日 付:2011.6.6

こんにちは。いつも応援してます。

日本の原発の防衛システムや虚弱性、アメリカやフランス等の原発防衛構造と日本との比較についての評論がききたいです。
おねがいします。

産経新聞
http://sankei.jp.msn.com/world/news/
110508/amr11050816010002-n1.htm

 産経新聞の記事は承知しています。とても広範な内容の質問で、すべてに答えるのは難しいことです。日本とアメリカやフランスの原子炉の防衛システムの具体的な比較は、図面などを用いてやりたいところですが、詳細は分かりません。インターネットでも何か情報があるかもしれませんが、調べたことはありません。

 日本の原子力発電所に武装警官はいないわけではなく、「原子力関連施設警戒隊」という組織が存在します。インターネットを検索すれば、いくつかの情報が見つかります。各都道府県の機動隊はそうした訓練をしていますが、福井県警を除いて専従部隊ではありません。海上保安庁も洋上警備で参加しています。施設の構造としては、それほど厳重な警備をしているようには見えません。フェンスで囲み、出入口を限定しているだけです。アメリカでは原子力規制委員会が、施設自体は洗練された兵器を持つグループに対して防衛できる必要はないと定めています。それでも、フェンスは二重で、さらに電子的な方法で監視をしていると聞きます。原子炉は航空機が衝突しても壊れないという容器に入っています。アメリカの原子炉はハリケーン・アンドリューの直撃にも耐えたことがあります。

 核保管施設についてはアメリカは国家核安全保障局(National Nuclear Security Administration)という組織があります。以前にここの職員が任務中に飲酒した事件を紹介しました(記事はこちら)。日本に同種の組織があるかは不明ですが、多分ないのだと思います。各企業が危険と判断した段階で警察に通報することになるはずです。

 フェンスはカッターで切断できます。実際、米空軍の核兵器の貯蔵施設に反核を訴える老人たちが侵入した事件がありました(記事はこちら)。このように、大型の施設に侵入しようとすれば誰にでも可能です。背中に背負える程度の爆弾で、原子炉建屋のドアは破壊できるでしょう。フェンスを壊し、原子炉建屋内に入り、配管などは破壊できます。原子炉自体を破壊できなくても、周囲の設備を破壊すれば、法律上原子炉を運転できない状態になります。短期間でも原子炉を停止させたいのなら、この方法でもよいわけです。多分、行ったきりの特攻作戦になるでしょうが、その気になれば一定の訓練を受ければ誰でもできるようになります。そんな状況に日本の原発がどれだけ対処できるのかは、まったく確信がありません。核事故に対しても大した対策がないのですから、テロ攻撃なんて冗談の世界としか思っていないでしょう。(スパイク)

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