シールズ隊員に名誉勲章の授与が決定

2008.3.18



 army-times.comによると、米海軍特殊部隊シールズの隊員が、名誉勲章を受勲することが決まりました。

 25歳のマイケル・A・モンソール二等警衛伍長(Master-at-Arms 2nd Class Michael A. Monsoor、二等警衛伍長は階級ではなく軍職)は、イラクのラマディで活動中、手榴弾が近くに落下した時、同僚を守るために手榴弾をつかんで胸の位置に抱え、爆風から同僚を守って死にました。

 2006年10月の記事で、モンソール二等兵曹(当時)が別の戦闘での功績で銀星章を受勲することが決まっており、戦死した件でも勲章が申請されたことを紹介しました。受勲する可能性があるのは海軍十字章、防衛殊勲章、海軍殊勲章か名誉勲章のいずれかで、私は名誉勲章の可能性が高いと書きましたが、やはりそうなりました。モンソールはイラクとアフガニスタンの戦いが始まってから4番目、海軍内では名誉勲章を受ける2番目の隊員となりました。名誉勲章は大統領が直接授与するので、人気のないブッシュ大統領が欲しがる話だからです。こんなことで戦況が変わるわけはないのですが、政府はやりたがるものです。なお、名誉勲章については、拙著「ウォームービー・ガイド」の「戦火の勇気」の頁で詳しく解説しています。

 ところで、こうした勇敢な行動がなぜ行えるのかについて書いた本の邦訳版が出版されました。「『戦争』の心理学 人間における戦闘のメカニズム」です。これは書評でも紹介している「戦争における『人殺し』の心理学」の著者デーヴ・グロスマン氏がローレン・W・クリステンセン氏と共に書いた本です。戦闘中の兵士の心理や肉体を科学的に考察した本で、デーヴ氏の前著の続編といってもよく、今回は警察官の話も書かれています。これらの本によると、戦闘中にはアドレナリンが全開になるため、私たちが日常感じている感覚とは別の状態になり、信じられないような勇敢な行動も可能になるというのです。多くの兵士が戦場で大小の失禁をしているという意外な事実も明かされました。このように戦闘中の兵士の心理と肉体の研究が行われたことはかつてなく、著者たちが切り開いた新分野です。睡眠時間と兵士の能力の関係にも触れられており、先日の記事にあるイラクにいる米兵の平均的な睡眠時間5.6時間がいかに危険であるかということも書かれています。このように軍事研究の手法も変化しています。既存の手法を繰り返すだけでは駄目で、常に新しい視点を探さなければならないのです。

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