これまでIEDによる死者が出ないといわれてきたMRAP装甲車ですが、遂にその神話が崩壊したようです。military.comがMRAP車の効果と問題点を報じました。
MRAP車が導入されてからEFPによる過去3ヶ月の事件数が40%であった間、EFPによる死者は17%と低レベルを維持しました。米軍は、これをMRAP車の数が増えたためだとしています。しかし、半ダースほどの兵士がMRAP車に関する事件で死亡しています。その内容は主にEPFよりも、横転によるものです。米軍はこの欠点を補うために、改造キットを用意しました。このキットを取りつけると、重要が約5000ポンド(2267.96kg)増加します。
驚くべきことに、IEDでMRAP車が横転することのです。重く、頑丈で、V字型の車底で爆風を逃がす形状も、規模が大きなIEDでは吹き飛ばされるようです。機銃手は車体から身を乗り出していることが多いために、横転した時に車外に放り出されたり、車の下敷きになって死ぬのでしょう。このサイトでも紹介しましたが、今年1月に機銃手がIEDの爆発による横転で死んだとみなされた事件があります(記事はここ)。別の例では、シートベルトをしていなかった兵士がIEDの爆発で死亡し、さらに横転した時に2名が死んだ事例があります。そして先週、EFPによる初の事例と見られる事件で2名が死亡しました。なお、1〜2名の兵士が、初期の装甲が薄いタイプのMRAP車で死亡した可能性があるといいます。イラクから持ち込まれているというEFPは、サドルシティとバスラで使用されることが最近急増しています。
MRAP車が本当に兵士をIEDから守ってくれるのかについて、前述の記事で私は疑問を提示していましたが、やはりそれは現実になりました。ここでさらに気になる疑問が浮かびます。当初、IEDの原料になったのはフセイン時代に備蓄されていた榴弾砲の砲弾でした。最近、それらの在庫が尽きて、爆弾の材料が変化したといわれていました。ところが、17トンあるMRAP車をひっくり返すような強力な爆弾が作られているようです。EFPは貫通して中にいる乗員を殺すだけです。MRAP車を横転させるようなIEDの材料が砲弾でないとすれば何なのかが気になります。これを三つ連結して爆発させると、ちなみに、67.6トンあるM1エイブラムス戦車は砲弾を3発連結した爆弾で横転するといいます。