military.comによれば、イラク米軍施設の漏電問題について、二人の上院議員がKBR社を処罰しろと主張しています。
民主党のボブ・ケーシー上院議員(ペンシルバニヤ州選出)とバイロン・ドルガン(ノースダコダ州選出)は、ヒューストンに本拠を置くKBR社は、施設をメンテナンスした際に電気線を不適切にアースしたことで処罰されるべきだと述べました。先週、AP通信は、2008年に感電死したライアン・マセス2等軍曹の死について、陸軍の調査は、KBR社とその監督2人により引き起こされた「過失致死」と判定したと報じました。陸軍はこの件についてコメントを出していません。
時間はかかっていますが、事態は少しずつ進展しているようです。昨年7月、中間報告ではKBR社に問題はないとされていました(記事はこちら)。最終報告は11月までに作成されるはずでしたが、ようやく完成し、議員に配布されたようです。そして、それを読んだ上院議員が頭に血を上らせ、今回の発言になったということでしょう。よほど、ひどいことが書いてあったに違いありません。報告書の内容がまだ明らかではないので、どのような問題が指摘されたのかは分かりません。中間報告の直後、民主党から証拠が提出され、事態に変化が起こりました(記事はこちら)。その1週間後には、ペトラエス大将が軍施設の電気設備を再転換すると言い出しました(記事はこちら)。そして、今回の最終報告書です。KBR社の責任が次第に明らかになっているのが感じられます。
この感電死事件は私にも思い入れがあります。2004年、
globalsecurity.orgの戦死者リストで、米兵の死因を調査していた時、チェイス・R・ホワイトマン技術兵の備考欄に「モスルの近くで電気的な事故で死亡。水に電流が流れた時、彼は水泳用プールで泳いでいた」と書いてあるのを見つけました。電流が流れた理由はまったく書かれていなかったので疑問に感じ、戦地で兵士がどのような理由で死ぬのかについて興味を抱くきっかけになりました。「ウォームービー・ガイド」を書いた時にも、ホワイトマンの死に少し触れました(p248)。こうして兵士の死に方について考えるようになったのですが、結構、変な理由で死ぬ兵士がおり、敵弾に倒れるという一般的なイメージでは捉えきれないことを知りました。今回の報告書に行き着いたのも、感電死した兵士の家族が疑問を感じたところから真相が明らかになったようです。つまらないように見えることでも、関心を持つことで、意外な真相が見えることがあります。戦争を考える時、こうした視点に立たなければなりません。