米軍がアフガンへの空輸ルートを切り替え

2010.4.15

 military.comによると、米軍はすでにマナス空軍基地を経由するアフガニスタンへの空輸を止め、クウェートからのルートを使用しています。

 アフガンでの軍事作戦を担当するフロリダを拠点とする司令部の広報官、ジョン・レッドフィールド少佐(Maj. John Redfield)は、マナス輸送センターとして知られる空軍基地において、部隊の空輸が先週末に一時的に停止されました。「中央軍の地域にはどこにでも部隊の空輸が行われています」とレッドフィールド少佐は述べ、アフガン上空の軍用機に対する空中給油も継続されていると付け加えました。ワシントンの上級軍当局者は火曜日に、部隊はクウェートへ迂回し、そこからアフガンへ著しく遅れることなく運ばれています。この決定は、軍の計画立案者が、基地が突然完全に閉鎖されて、マナスにいる部隊の予備を危険にさらしたくなかったためになされました。基地の装備と給油活動はこの出来事の中で脇に置かれるでしょうが、当局者は部隊の一時停止はより大きな補給の難問を引き起こします。第3軍指揮官のウィリアム・ウェブスター中将(Lt. Gen. William Webster)は、4月2日の記者会見で特定の数字を提供しませんでした。ロバート・ゲート国防長官(Defense Secretary Robert Gates)は火曜日に、アメリカはキルギス共和国の空軍基地に代わるものを持ちますが、どれも理想的ではないと言いました。レッドフィールド少佐は、3月だけで約50,000人の部隊がマナスを通過したと言いました。イラクとアフガンの戦争を指揮するデビッド・ペトラエス大将(Gen. David Petraeus)は月曜日に、アフガンに向かう30,000人の増派部隊の13,000人以上が配備済みだと言います。大将は、必要とされていない師団司令部1つを除いては配備は順調で、8月末までに予定通りに完了できると言います。レッドフィールド少佐は、マナスの空軍基地は民間空港とスペースを共有しており、先週水曜日に民間空港が閉鎖されると同時に12時間閉鎖されました。一部の飛行が金曜日に短時間再開されましたが、同じ日に再び閉鎖されたと言います。数百人の部隊が空港閉鎖でマナスで動けなくなった後、月曜日にアメリカに戻りました。それ以外のアフガンを往来する飛行は無期限停止のままです。レッドフィールド少佐は、空港がいつ再開されるのか分からないと言い、ルートは特定せずに「我々は兵を運ぶ代替手段を持っています。軍隊は常にオプションを保ちます」と述べました。

 この記事で分かるのは、マナス空軍基地は民間空港の閉鎖と同時に閉鎖されたということです。これはクーデターや革命の際に取られる基本的な処置で、政変に成功した側が、逮捕したい人物が飛行機に乗って逃亡するのを防ぐために行われます。米軍基地だけを閉鎖したのではなく、保安上の理由で民間空港も閉鎖しているところから、米軍基地閉鎖だけが狙いではないことが分かります。また、空港が再開するのは、暫定政権がすでに逮捕すべき人物の身柄をすべて確保したとか、空港で完全に逮捕できると確信した時となりますから、いましばらくは閉鎖が続くでしょう。

 また、アフガンへの補給に支障は出ていないという米軍当局の見解をそのまま信じることはできません。このセリフは、パキスタンからの陸路ルートがタリバンの攻撃にさらされた時にも聞かれたことです。この時は、ルートを南部にも設け、キルギス共和国と基地賃貸の交渉を開始したりしました。その後、比較的重要度の低い日用品が基地で不足しているという報道がありましたが、銃弾・砲弾や燃料などの重要物資が不足しているという報道はありませんでした(関連記事はこちら)。しかし、前哨基地でヘリコプターが川に落としてしまった荷物を拾いに行った兵士が溺死するという事件が起きています(関連記事はこちら)。重要物資にも不足が出て、軍がそれを隠している可能性があります。よって、今回も輸送に支障が出ている可能性があると考えておきましょう。私は増派兵士のことばかり話題にされている点が気になっています。補給物資の遅れが増派部隊の陰に隠れている可能性を、私は考えます。

 軍は常に最良の選択肢があれば、万難を排してそれを採用しようとします。クウェートのルートで十分なら、わざわざキルギス共和国に大金を渡して空港を借りることはしません。クウェートからイランの空域を避けてアフガンまで行くのは、やはりキルギス・ルートよりも難しいのです。輸送機が墜落して、運んでいる兵士もろとも海に沈む危険もあります。だから、キルギスの空港がより便利なら、そこを使うと軍は考えるのです。マナス空軍基地が再開され、再び閉鎖されることはないと分かれば、米軍はすぐにキルギス・ルートへ戻すでしょう。レッドフィールド少佐の言葉には、こうした軍隊の基本的な思考方法がよく表れています。また、クウェート・ルートは明らかにキルギス・ルートよりも費用がかかり、輸送コストを一層押し上げます。これは戦費の増大を招き、アメリカ経済をさらに締め付けるのです。(関連記事はこちら


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