2011年に向けて
新年あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。年始にあたり、昨年の出来事や今年の展望などを、思いつくままに書いてみたいと思います。
2010年はロシアが北方領土を正式に領土と宣言するという大きな変化がありました。
ロシアのこうした変化がなぜ起きたのかは正確に分かっていません。しかし、2006年に起きた北方領土海域での漁船銃撃事件が影響している可能性を私は考えてしまいます。(関連記事はこちら 1・2・3・4)
先日も書きましたが、この事件での日本政府の態度は、尖閣諸島で起きた中国漁船衝突事件における中国政府の態度にそっくりでした。日本漁船が越境した可能性が高いにも関わらず、外務省はロシア側の責任だけを追及しました。マスコミも過去の報道を踏襲した記事ばかり報じ、日ロ関係に問題を作ったのです。確かに冷戦期にはロシア側の強硬な取り締まりがありましたが、ソ連崩壊以降は柔軟な対応がなされるようになりました。この事件で、態度を軟化させても日本の態度は変わらないという印象をロシアに植え付けたとすれば、それが今回の領土宣言につながった可能性はあります。
現内閣は、近くメドベージェフ大統領が北方領土を訪問するという発言を受け、外務省に再三問い合わせたにも関わらず、外務省は「そういう情報はない」と回答し続けたと言います。その結果、ロシア政府は訪問を公にしていたのに、日本政府にしてみれば、ロシア大統領が北方領土を電撃訪問した形になりました。は更迭されました。報道によれば、河野雅治駐ロシア大使は帰国報告で「私はロシアに詳しくない」と答え、菅総理を激怒させたということです。菅総理でなくても、この事態に駐ロシア大使を更迭させなければならなかったでしょうし、大使だけで済んだ方が意外です。
都合の悪い情報から目を背けていると、こういうことになるわけですが、外務省のような組織ではありがちがことと言えます。
テロ問題は、今年以降さらに事態が悪化すると考えるべきです。イラクとアフガンからの撤退が進み、これらの地域での戦いには区切りがつきますが、別の地域で新しい戦いが始まる可能性が高いのです。アルカイダは必ずそうした場所を用意します。パキスタンやソマリアは最もその可能性が高い場所です。北アフリカにもアルカイダの浸透が見られます。 テロ問題の落着先は見えず、今後ずっと世界を悩ませる問題として残り続けるでしょう。
北朝鮮問題は中国次第です。中国が強く介入すれば、米韓が手を出せないほどの抗力となり、テロ問題を抱えている現在、軽度の介入しか行えないことになります。その結果、北朝鮮は今後も存続することになります。一番よいのは北朝鮮の側から戦争状態を終結する提案がなされ、南北が統一されることです。
また、民間軍事会社も健在で、新しい形へ変化しています。先日紹介したように、ウガンダに拠点を置く民間軍事会社はアフリカを市場に活動しています。彼らは現地人を訓練して警備員を養成しています。警備員といっても、実態は兵士と変わりません。こうした人たちが増えると、将来的に彼らがウガンダを軍事的に支配する可能性が生まれます。下手すると、民間企業により、アフリカの国家が支配される時代が来るかも知れません。まったく予想しない、こうした新しい事態が起こり得ると、私は考えています。
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