米軍資金でタリバンが儲ける

2011.7.27


 military.comによれば、アフガニスタンでの米軍輸送契約の数十億ドルの金がタリバンにわたっていることが分かり、米国防総省は今後出費に関する規則を強化すると誓約しました。

 この発見は、1年前に契約を向上するためにカブールに設置された米タスクフォースによってなされたと、国防総省広報官、デビッド・ラパン大佐(Col. David Lapan)は言いました。それは、年間何千万ドルもの輸送契約金が輸送隊を守るために地方の司令官に渡っているという昨年夏の議会報告と合致します。

 問題は、21億ドルの沢山の下請け業者を通じて、食糧、水、燃料、弾薬をアフガン全土の基地にいる米兵に輸送する、8社とのいわゆる「受入国輸送」請負契約です。ラパン大佐は月曜日に、この仕事に新しい契約が与えられ、新しいシステムは請負業者をより厳しく検査すると言いました。

 一年間かけた評価は金額を示しませんでしたが、土曜日に最初に評価について報じたワシントン・ポストによれば、現在契約している8社中4社で「犯罪活動や敵の支持への関与」を見出しました。請負業者は資金洗浄、不当利得の獲得、ぴんはね、書類の偽装にも関わっていました。


 この問題は過去にも紹介してきました。輸送会社から各地の軍閥の長や警察高官に金が払われ、そこからタリバンに金が流れているという話です。(過去の記事はこちら 

 最初の報道は2008年で、ようやく軍が実態を認識して、規則を改めるというのに、ごく簡単にしか情報を開示していないようです。これで問題が解決できるのかは、かなり疑問です。

 米軍は外国で様々な契約を取り交わします。これが第2次大戦後の日本なら、すでに正式に降伏し、武装解除され、島国であるため、隣国とのつながりも間接的であり、契約を結ぶのに大きな問題はありませんでした。しかし、アフガン戦の場合、米軍基地は全土にあり、アフガン国内だけでなく、パキスタンのルート上にも敵は大勢いて、現地で雇う輸送業者の問題は戦況に直接関係してきます。言うまでもなく、支払った輸送費でタリバンが武器を買うとすれば、軍事活動の意味はなくなるわけです。アメリカはこういう問題に無頓着すぎるかもしれません。たとえば、米国内の違法薬物取締で、FBIやATFが密輸組織の摘発に努力しても、CIAが協力する外国の組織に金を与えるために麻薬密輸で利益を与えることがあります。CIAのこういうやり方に憤りを感じて辞職する麻薬取締官もいると聞きます。アフガンには物資を運ぶために、協力的とは言いにくい周辺国の協力が必要です。大きな戦争では現地での協力者が不可欠です。彼らが敵とつながっている可能性は否定ができません。こういう観点からも、戦争をする場所は選ぶべきだという教訓が導き出されます。補給に関して言えば、アフガンは戦争をしにくい、金のかかる場所です。



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