カダフィ大佐暗殺説の信憑性
毎日新聞が、フランスのインターネット紙「メディアパー」が「仏工作員が大佐を直接殺害した」とする、当時の反カダフィ派「国民評議会」幹部、ラミ・エルオベイディ氏の証言を掲載しました。
このメディアパーというインターネット紙は現段階では見つけられていないのですが、フランスの主要メディアではないようです。
毎日新聞は、反カダフィ派がリビア北中部シルトでカダフィ大佐を拘束した際、「仏軍特殊部隊と国防省対外治安総局の工作員が現場で展開し、工作員がカダフィ大佐を殺害した」と書いています。当時、公開されたビデオ映像を見る限り、カダフィ大佐が拘束されたときに、近くにフランス人がいる様子は映っていません。現場はリビア人ばかりで、カダフィを捕まえた興奮に満ちていました。この現場にフランス人がいたところで、リビア人の興奮を止めることはできず、介入できるとは思えません。そもそも、少数精鋭の特殊部隊が、首尾よくカダフィを見つけた現場に居合わせたとすれば、それは神業に近い話です。
毎日新聞は、英「テレグラフ」紙などによると、リビアのジブリール前暫定首相は、カダフィ氏殺害への外国の工作員の関与を認めているとも書いています。最近、ジブリール氏はそう言っているらしいのですが、当時は、誰がカダフィを殺したのかは分からないと言っていました。rt.comのインタビュー記事で、彼は誰が間違いなくカダフィを殺したかを知らないと述べ、「あまりにも多くのグループがカダフィが話さないこと、彼が永遠に沈黙することに本当の興味を持っていました」「私は(カダフィ大佐の)殺害が誰の仕業かを知りたい」と言いました(記事はこちら)。これが英語版の記事で「I would love to know who was behind [Colonel Gaddafi's] killing」と書かれたため、「誰が殺害の背後にいるのか知りたい」と解釈され、あるネット記事では「カダフィ殺害には黒幕がいたと大臣が発言 リビア」という仰々しい見出しを掲げました。これは悪訳もいいところです。
france24.comによれば、ジブリール氏は最近、エジプトのテレビ局に「(反政府派の)革命旅団に潜入した外国人エージェントが、カダフィを殺す命を帯びていた」と述べています。記事には、この発言はマスコミのスポットライトを浴びようとしているに過ぎないという専門家のコメントがつけられています。(記事はこちら)
当サイトでも、カダフィ大佐の死因はかなり掘り下げてみましたが、真相は分かりませんでした。記事はいくつも紹介しましたが、結論部分はいくつかに絞られます。(記事1・2・3・4)
カダフィの死体を見た記者は弾痕が頭部左側、胸、腹にあったと言っていますが、それも目視での判断で、解剖して、銃創かどうかを判定したわけではありません。ビデオ映像を見ると、現場では側頭部の傷しかないように見えるのが、後で公開された死体には胸と腹に銃創らしいものがあります。あるいは、すべての傷が現場で生じていたのかも知れません。しかし、外国人エージェントよりも、現場にいた者の攻撃で死亡した可能性の方が遙かに高いと考えます。
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