タフタナズ空軍基地が陥落

2013.1.12


 BBCによれば、シリアの反政府派がタフタナズ空軍基地(Taftanaz airport・kmzファイルはこちら)を占領しました。

 インターネットに投稿されたビデオは、タフタナズ基地の内部で、戦車とヘリコプターの横で勝利を祝う反政府派を示しました。この基地のヘリコプターは反政府派が掌握する地域を攻撃するのに使われました。

 一方、ラハダル・ブラヒミ特使と米・ロシアの外交高官の会合は進展なく終わりました。

 アル・ヌスラ戦線(al-Nusra Front)とアンサル・アル・シャム(Ahrar al-Sham)、イスラミック・バンガード(the Islamic Vanguard)ら、反政府軍兵士はタフタナズ空軍基地を11月初旬から包囲していました。基地はダマスカスとアレッポをつなぐ幹線道路の近くにあり、反政府派が掌握する地域を爆撃し、政府軍に補給品を届けるために使われてきました。反政府軍兵士は水曜日の夜に、数日の戦闘の後に侵入し、木曜日までにその半分以上の支配権を握りました。金曜日の朝、地域調整委員会は自由シリア軍が完全に支配権を得たと報告しました。

 ビデオ映像は戦闘員が基地の正門の外と基地内の弾薬庫で装甲車を調べているのを示しました。人権団体「he Syrian Observatory for Human Rights」は、戦闘が11:00頃に終わったと言いました。「政府軍の多くは殺され、ほとんどの兵士と将校は未明に逃げました」とラミ・アブドル・ラーマン(Rami Abdul Rahman)は言いました。「ここは反乱が始まってから占領された最大の空軍基地です」。政府軍はすでに使えない20機を除いて、すべてのヘリコプターを持ち去りました。あるビデオ映像は基地のヘリコプターを映し、そのいくつかは無傷のように見えました。ラーマン氏は、政府軍が反政府派が基地を占領した後で反撃し、反政府派がいる場所へ空爆を行ったと言いました。地域調整委員会も、軍用機がタフタナズ市の近くを爆撃したと言いました。

 反政府軍と政府軍の犠牲者に関しては今のところ言及がありませんが、ビデオの中に兵士の死体10体がみられました。水曜日日、反政府派活動家の一人は、政府軍が反政府派がヘリコプターに近づくのを防ぐために、先手を打って基地の航空機を爆破したと言いました。人権団体は15機のヘリコプターが損傷したようだと言いました。

 地域調整委員会は、ハサカ州(the province of Hassakeh)のナハト・アル・ホウル(Nahat al-Houl)で殺された40人を含めて、金曜日にシリア全土で69人が殺されたと言いました。委員会は政府軍の軍用機が夜通し街を空爆したと付け加えました。


 記事は一部を紹介しました。

 アレッポからタフタナズ空軍基地までは、近いところで35km程度です。この基地が陥落した意義は大きいものがあります。5日に指摘したように、この基地の位置は重要なのです(記事はこちら)。

 5日には政府系ニュースは、政府軍が攻撃を撃退したと報じていましたが、その直後に陥落したということは、政府発表がすでに大本営発表式にいい加減な内容になっている証拠です。

 公開されたビデオ映像で気になるのは、政府軍兵士の死体がいくつも同じ場所にあることです。武装解除された後で処刑された可能性を考えるべきかも知れません。攻撃したのは自由シリア軍でも過激派の外国人グループですから、やりかねないことです。

 タフタナズ空軍基地の陥落で、アレッポに対する空爆は減るでしょう。一方で気になるのが、ナハト・アル・ホウルが空爆を受けて犠牲者を出したことです。街の位置は正確に分かりませんが、ハサカ州の州都、ハサカの位置は分かります(kmzファイルはこちら)。シリア北東部にあり、すでに反政府派が制圧しているというユーフラテス川沿い地帯のさらに北にあります。ハサカの街はクルド人が多く、周囲にシリア軍の基地もあり、さらには2011年に、核施設らしいものがあると報じられている場所です(関連記事はこちら)。まだ、政府軍がここに軍用機を送り込んで空爆ができることは驚きです。悪く言えば、反政府派を抑えるためには、どうでもよい場所で、ここを空爆する理由を知りたくなります。


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