南スーダンの国連基地が攻撃される
BBCによれば、南スーダンのボル(Bor)にある国連基地が約350人の若者から攻撃を受けました。
国連の南スーダン支援担当、トニー・ランザー(Toby Lanzer)は、若者たちはゲートを破り、発砲したと言いました。国連平和維持軍は撃ち返し、攻撃者を撃退しました。約5,000人の民間人が基地に避難しています。
ランザー氏は、木曜日の朝、約350人の若者のグループがボルの中心部を出て、基地に接近したと言いました。それは嘆願書を出そうとしたということになっています。「彼らはなんとかゲートを開けると、中に入って、無差別に撃ちました」「攻撃を撃退したのは、平和維持軍の勇気です。残念ながら、我々は多くの人命を失いました。人数は確認できませんが、数十人だと言うことができます」。
ランザー氏は、若者は民間人の服装でしたが、何者かは分からなかったと言いました。「それはまったくいわれのないもので、国連に避難と保護を求める民間人のグループに対する暴力は、卑怯なだけでなく、憎むべきことと、私は考えます」。ランザー氏は、攻撃を受けて警備を強化すると付け加えました。「我々は基地をさらに増強し、不正行為をもくろんで我々に近づく者すべてに明確なシグナルを送ります」「われわれには明確な交戦規定があり、基地にいる唯一の目的が生存することである人々を守るために必要ならば、武力を使います」。
インディペンデント紙の別の記事によると、少なくとも48人が殺され、60人が負傷しました。ボルの国連基地にはインド軍と韓国軍がいます(記事はこちら)。イギリスのYahooニュースによると、少なくとも58人が殺され、100人以上が負傷しました(記事はこちら)。ヒンドゥー・ビジネスラインによれば、平和維持軍のインド兵2人が負傷しました(記事はこちら)。
記事は一部を紹介しました。
この事件が、米政府の警告のあとに行われたことに注目する必要があります。先日、オバマ政権は、和平や国連活動を妨害する者は立場を問わずに制裁すると警告しました(関連記事はこちら)。それでも、基地は攻撃されたのです。
1月にBBCの記事は、ボルは瓦礫と化したと書いており、現在もここには人はほとんど住んでいないでしょう(関連記事はこちら)。ボルは、1991年にレイク・マシャル(Riek Machar)が率いるヌエル族の「白の軍隊」がディンカ族2,000人を虐殺した場所です。今年1月にもヌエル族の「白の軍隊」がボルを攻撃しました。おそらくは、ボルの国連基地にはディンカ族が多く避難していますから、今回の事件は反政府派のヌエル族がやった可能性が高いことになります。米政府は確証をつかんでから、何らかの制裁を行うことになります。
自衛隊がいる首都ジュバはディンカ族の支配地域です。北部は危険だけども、ジュバ付近は安全なので自衛隊を派遣できるというのが、民主党と自民党の両政権が主張してきた、自衛隊派遣の根拠です。しかし、すでに国連基地への攻撃が行われる段階にまで内戦は悪化しています。政府派にも国連に対する反感があるのが、南スーダンの特殊事情です。自衛隊の駐屯地がいつ攻撃を受けても不思議ではないと、私は考えます。
これに関連して、驚くべき報道がありました。時事通信によると、安倍晋三首相は18日夜、視察先の大阪市内での会食の席で、韓国が旅客船沈没事故で日本の救援を受け入れていないことに関し「子どもたちを早く助ける意味でも支援を受けてくれたらうれしいのに」と語りました。今回、韓国が日本の支援を受け入れる可能性はかなり低いでしょう。昨年12月、日韓は南スーダンに派遣された韓国軍が自衛隊から小銃弾を借りた件でもめました(関連記事はこちら)。この事件の直後に安倍総理が靖国神社を参拝し、一層こじれたのです。現在でもその余波が残る段階であることを忘れて、記事にあるような発言をしたとすれば、安倍総理は自分がやったことを何も分かっていないように見えてしまいます。今後、南スーダンの情勢に日本政府が適切に対処できるかは、かなり疑問です。
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