バグダール捜索による死者はいなかったと判明
military.comによれば、ケン・ウルフ最上級曹長(Command Sgt. Maj. Ken Wolf)にはバウ・バグダールが持ち場を離れた後アフガニスタンで殺された兵士の家族へのメッセージがありました。
「彼らの息子はバグダール二等兵を探して死んだのではありません」とウルフは木曜日に11回続いたポッドキャスト番組の最終回で言いました。
過去数ヶ月間、あらゆる角度からバグダール事件を調査するポッドキャストは、彼の大隊の6人の兵士がバグダールを徹底捜索する45日間の間に殺されたという絶え間ない噂の偽りを暴きました。
法廷証言によれば、彼ら全員は8月と9月、心身を疲れさせる捜索が実質的に取り消され、任務が来る選挙の安全を確保するために変更された後に殺されました。
「我々は探して、探して、探し回りましたが、彼を見つけられませんでした」とバグダールがいた旅団の最先任下士官だったウルフは言いました。
「陸軍のだれもが『君を探すのを止めていいか?』なんて言いません。しかし、取り決めはあります。それは45日間で、この時点で我々は彼がどこにいるかを知りました。彼はパキスタンにいると」。
バグダールの部隊、第501歩兵連隊第1大隊は戦闘地域を去り、彼を見つけるためにパキスタンに行こうとはしなかったと、ウルフは言いました。
バグダールは部隊を裏切ったと信じるというウルフですが、兵士が待ち伏せとその他の攻撃で殺される結果になった二次効果、三次効果を生んだという他の兵士からの議論に反論しました。
「とてもマズい場所にいるのですから、それは理屈に合いません。殺される可能性はいつでもあります」。
法廷証言によると、バグダールは自分が彼の部隊の危険なリーダーシップと考えるものを報告するため、シャラナ前進作戦基地(Forward Operating Base Sharana)まで20マイル(約32km)を歩く計画で、監視所「メスト(Mest)」を2009年6月30日の深夜に立ち去りました。
彼は数時間後にタリバンに捕まり、5年近くパキスタンで複雑な状況に置かれました。
彼は5人のタリバン兵との捕虜交換で2014年に釈放されました。
テレビの声明の中で、彼は脱走兵で恐らくは裏切り者だと考え、兵士たちはバグダールが有名人扱いされるかもしれないことに怒っていました。
ある者は彼は他の者の死に責任があり、軍事裁判にかけられるに値するといいました。
拘束中に軍曹に昇進した30歳のバグダールは、今年後半に脱走と彼を探した兵士を危険にさらした不法行為の罪で軍事裁判にかけられます。
この犯罪には処罰なしから終身刑までの範囲の判決があります。
事件を調査した陸軍将校2人は、バグダールは刑務所に入れられるべきでないといい、大半の専門家は減刑要素のために厳しい処罰は出ないだろうと考えます。
2008年、バグダールは神経衰弱で沿岸警備隊の基礎訓練に落第し、妄想とパラノイアを特徴とする人格障害と診断された後に免責条項付きで志願入隊しました。
法廷証言によると、彼は結果に関係なく正しいことを追求する純粋な理想主義者で、繰り返し、抵抗し脱走しようとする典型的な戦争捕虜でした。
ポッドキャストは捜索で誰も死ななかったと結論しましたが、バグダールが消えた後、最初の2週間で任務で重傷を負った2人について話しました。
ネイビーシールズのジミー・ハッチ(Jimmy Hatch)はバグダールを見つける任務の間に銃撃戦で脚を失いました。
マーク・アレン1等軍曹(Sgt. 1st Class Mark Allen)は別の任務で頭を撃たれ、脳の一部を失い、身体が麻痺して言葉を話せません。
ポッドキャストは他に2人の兵士がアフガンで監視所から立ち去ったことを明らかにしました。
2012年、ある兵士は前哨基地の自分の部隊に加わるために前進作戦基地を立ち去りました。
2010年、ある兵士は日焼け止め、装飾を施した剣と戦闘斧を持ち、東ヨーロッパに歩いて行くために、シャラナ前進作戦基地を立ち去りました。
両者はアフガン警察に早く発見され、誰かが危害を受ける前に部隊に戻されました。
どちらも起訴されませんでした。
ヨーロッパへ歩いて行こうとした者は必要とする支援を受けるために家に帰されたと、軍のセラピストがポッドキャストの司会、サラ・クーニック(Sarah Koenig)に言いました。
軍はこういう人たちは「宇宙でヘルメットを脱ぐ宇宙飛行士」のようなもので、「精神病事案」として扱うと、セラピストはクーニックに言いました。
ポッドキャストの調査員に陸軍が提供した数によると、約3,500人の兵士が2001年から2014年の間に無許可離隊で有罪判決を受け、980人が脱走で有罪判決を受け、大半は米国内で起こりました。
記事は全体を簡単に訳しました。
バグダールの事件は何度も取り上げてきましたが、その中に彼の捜索で兵士6人が殺されたという主張があります(関連記事はこちら 1・2)。
関連記事にあるように、国防総省はこの主張を否定してきました。現地からの報告書を精査しての結論でしょう。
しかし、元同じ部隊にいた下士官が、わざわざバグダールの無実を証明するためにポッドキャストに出演するとは驚きです。この辺がアメリカの長所ですね。
最前線での脱走に精神病が関係していることを示唆しているのも興味深いですね。
日本では誘拐されていた少女に対して、誘拐ではなく家出との疑いをかける人が出るくらい、「監禁」の被害者に対する同情は希薄です。浅間山山荘事件の被害者も、機動隊員が死んだことで批判を受けました。どういう訳か、犯人ではなく被害者を責めるのです。航空機がハイジャックされると、フライトアテンダントに武道を習得させ、犯人と戦えという主張が出たのを見たことがあります。自衛隊の海外派遣で捕虜になる自衛官に対して、一体どんな罵声が投げかけられるのか、いまから心配しています。
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