マリーン・ワン指揮官が暴力事件で解任

2017.6.8


 military.comによれば、2009年に史上発の大統領専用ヘリコプター、マリーン・ワンの指揮官になった時に「今週の人」となった海兵隊将校が更迭されたと、海兵隊は水曜日に発表しました。

 第二海兵隊遠征軍が発表した声明によれば、ジェニファー・グリーブズ中佐(Lt. Col. Jennifer Grieves)は、信用と信頼を失ったために、ニューリバー海兵隊航空基地から分離されたCH-53E「スーパー・スタリオン」飛行隊、第464海兵隊大型ヘリコプター飛行隊の指揮官を解任されました。

 第二軍の報道官、マイケル・オーミスタッド中佐(Lt. Col. Michael Armistead)は、グリーブズ中佐は第二回兵隊航空団指揮官、マシュー・グラビー少将(Maj. Gen. Matthew Glavy)により、詳細が報じられていない勤務外の事件のために解任されました。

 グリーブズ中佐は12月16日、ノースカルフォルニア州スニーズ・フェリー(Sneads Ferry)の自宅で逮捕され、単純奉公で起訴されたと、オンスロー群(Onslow)保安官事務所のC・D・トーマス少佐(Maj. C. D. Thomas)は言いました。逮捕の報告によれば、事件は午前3時頃に起こり、家庭内の議論から生じました。彼女は保釈金500ドルで釈放され、起訴はまだ保留中だと、トーマスは言いました。

 グリーブズ中佐は1990年に志願し、8年後に将校となり、彼女が初の女性マリーン・ワン指揮官となった時、有名人となりました。

 2009年、彼女がこの地位を1年間務めた時に、ABCニュースは彼女を「今週の人」に選び、すべて女性のクルーで特徴づけられた彼女の最後の飛行を報じました。

 彼女は当時の大統領、バラク・オバマ(President Barack Obama)から個人的な感謝と歓送も受けました。

 「女性クルーについて言うと、私は我々がやって来て、着陸するとき、それら両方が信じられないくらい誇りを感じました」と、当時、彼女はマスコミに言いました。

 「(飛行に関する)すべてのことは、おそらく、私の海兵隊の軍歴を作りました。そして、私が半年間で退役するとなれば、私は私が特別な組織の一員だったと知って退役するでしょう」。

 公式の記録によると、グリーブズ中佐は、2015年5月に464飛行隊の指揮を執りました。彼女は以前に第1海兵隊ヘリコプター飛行隊で別の航空機の指揮官を務めました。

 2009年に第1飛行隊を去った後、彼女は海兵隊指揮幕僚大学で学びました。彼女は後に、2010年にニューリバー基地から461飛行隊と共にジブチへ、2011年に464飛行隊と共にアフガニスタンへ派遣されました。

 彼女の受勲は、航空個人行動勲章(2回)、勲功記章(3回)、航空攻撃・飛行勲章(5回)、戦闘行動章を含みます。

 2016年5月に飛行隊指揮官となったグリーブズ中佐は、飛行隊指揮官として、元第1海兵隊運用試験・評価飛行隊(VMX-1)のトロイ・キャラハン中佐(Lt. Col Troy Callahan)と交代させられました。

 グリーブズ中佐は、第2遠征軍の中で転属させられるでしょう。


 家庭内のもめ事が原因で、輝ける経歴がある軍人が処分を受けたという話です。

 グリーブズ中佐は申し分ない軍歴を持っています。大統領専用ヘリコプターのパイロットになるのは、ヘリコプターパイロットの夢です。

 彼女の軍歴からすれば、海兵隊航空部隊の頂点に登り詰めて当然です。しかし、家庭内での問題で解任です。今後、昇進はままなりません。適当な時期に退役するかもしれません。こういう場合、そうする軍人をみかけます。

 米軍の規律は自衛隊に比べて厳しいというのが、長年米軍の動きを見てきた者としての見方です。

 これが自衛隊だったらどうなるのか。家庭内での出来事だから、関係ないとなるのような気がします。

 自衛隊では、元空爆長の田母神俊雄氏が政府見解と異なる私見を公表して解任されました。私的意見だから問題ないというのが彼の主張でした。

 最近では、河野克俊統合幕僚長が改憲する場合に、憲法に自衛隊を規定するよう求め(関連記事はこちら)、元陸将の福山隆氏も類似する意見を週刊誌に発表しました。(関連記事はこちら

 いまや個人的見解といえば、自衛官は何でも言える状況です。

 米軍では、将官はほとんどの場合で、処罰を受けません。そういう人物は将官にならないくらいのモラルがあるといえます。

 強いて事例をあげると、デビッド・ペトラエス元大将がCIA長官を務めた時に、軍事機密を女性将校にもらしたことが思い出されますが、これは退役後の事件でした。(関連記事はこちら

 皮肉にも、自衛隊がようやく国民に広く認知されるようになったとき、自衛隊は腐っていたのかもしれません。いつか来た道を辿っているようです。

 

 

 


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