オスプレイの真空濾過器に致命的欠陥

2019.11.16


 military.comが、 監視団体の新しい報告によれば、土砂とその他の破片は米海兵隊と空軍のティルトローター機V-22「オスプレ イ」に損害を与え続け、国防総省の調査官は航空機のエンジンを守り、破片を入れないようにする、よい利用可能な方法がないと 恐れると報じました。

 火曜日に公表された国防総省の監察長官の編集済み報告書によれば、V-22のエンジンを守るよう設計された「the Engine Air Particle Separators: EAPS」として知られる真空濾過器は、過去の再設計の必要条件、プログラムにまったく適合せず、エンジニアが3度目の再設計の努力を試みるとき、再び基準に達しないかも しれないと著者たちは見出したと統括監察官は言いました

 統括監察官によれば、海軍航空システム司令部が監督するV‑22統合計画局は3度目のEAPS再設計がV‑22の積年の問 題を修正すると確信できません。過去2回のEAPS再設計の努力は2010年と2011年に起きました。

 エンジニアが組み立てた資材は少なくとも1回の命にかかわる航空事故につながり、安全上の危険をもたらしました。

 2015年、MV-22B「オスプレイ」がハワイで墜落し、2人を殺し20人以上を負傷させました。

 海兵隊の事故調査報告書は、パイロットが高いレベルの破片にも関わらず航空機を着陸させようとし、それが低い視認性を起こ したことを見出しました。

 当時の調査についての発表によれば、「視界低下の状態の中、繰り返され、持続した飛行時間の上……着陸しようとして左エン ジンの失速を起こし、航空機を地上へ向かう避けられない自由落下にさせたパワー喪失という結果となりました。

 破片は適正に濾過できず、失速、揚力減少、引き続いた墜落を起こしたと当局は言いました。

 事故の結果、軍は視界不良着陸(Reduced Visibility Landing: RVL)のホバリングの基準を最大35秒以内に変更しました。

 最近のEAPS報告は、海軍が製造元のロールスロイス社が設定したV-22のエンジン整備基準を満たしていないという事実 を含みました。

 「(V-22のプログラム・マネージャーが)元のEAPSの設計用の仕様を開発したとき、EAPSは砂漠環境すべてでロー ルスロイス社の仕様に合致する必要はありませんでした、とレポートはいいました。仕様は空気浄化の一定水準を維持し、エンジ ンが劣化することなく11時間にわたりV‑22のエンジンが吸い込む組成物と土壌の濃度を制限しなければならないと断定した と報告はいいました。

 国防総省統括監察官は、よりよい基準を満たすための将来の進展がありそうかは疑問だといいました。

 試験されていない土壌組成も問題を示しました。統括監察官は、プログラム・マネージャー・エア275(PMA‑275)と しても知られるV-22の統合計画局は、すべての土壌の種類で試験をせず、中東の砂漠地域のような一般的な作戦環境でみられ る土壌に焦点をあてているといいました。

 報告書によれば「PMA‑275はV‑22が活動する環境すべてを代表しない土壌で3度目のEAPS再設計を試験しようと して、かわりに単一の砂漠地域での試験に基づいた軍の基準土壌組成と土壌濃度に依存しようとします」。「これは PMA‑275が軍の標準土壌サンプルを作る能力を活用しないために起きます」。

 ロールスロイス・アリソン社のターボシャフトエンジンAE1107C2基に推力を得るV-22は優雅に着陸する航空機では ありません。場合によっては時速200マイル(時速322km)という速度は主要なセールスポイントですが、この航空機は離 陸や着陸をするときに大量の塵芥と破片の後流を巻き起こします。

 エンジニアたちはすでに9年間、破片の問題について活動しています。報告書はオスプレイが将来に活動を続けるなら、 EAPSを作り替えるための方法を評価する試験を受けるべきだと結論しました。

 プログラムを評価する監察官に与えられたコメントによると「副プログラム・マネージャーは、計画局がV‑22の安全な運用 のための対策をとり、開発、統合のために技術的に可能ではないと結論したPMA‑275が主導した高額の研究を行い、無制限 な時間に対して可能性があるすべての土壌のタイプと濃度からV‑22のエンジンを保護する完全な能力があるEAPSを配備す る重層的なアプローチを概説しました」。

 軍はエンジンに吸い込まれる土壌の量を減らすため、EAPSの性能をあげ、V-22のエンジンのずっと多い保護を提供する 設計を維持します。

 海軍は土壌の追加のタイプを計画し、試験する国防総省統括監察官の勧告に対応していなかったと、統括監察官部はいいまし た。

 オスプレイの欠陥は繰り返しいわれてきましたが、これは軍の監察官による結論です。

 記事の中のハワイの事故は、当サイトでも繰り返して紹介しました(関連記事はこちら )。 事故の映像はこ ちら

 この映像を見るとわかるように、オスプレイのローターが大量の塵を巻き上げ、塵がエンジンに吸い込まれることでエンジンが 故障し、一瞬で墜落したことが分かります。

 この程度の塵でオスプレイは墜落します。そして、それを改善する見込みが立たないのです。これがオスプレイが極めて限定的 にしか使えない理由です。オサマ・ビン・ラディン暗殺でも、アル・バグダッディ暗殺でもオスプレイは使われませんでした。重 要な作戦での活用が憚れる欠点を持つからです。

 熊本地震で米海兵隊が支援物資を現地へ届けたとき、自衛隊は事前に着陸地点に水をまき、塵の発生を抑えることで、この欠点 を国民の目から隠しました。導入に支障をきたさないための工夫でした(関連記事はこちら )。 こんな誤魔化しをしないとならないのがオスプレイです。

 記事にあるように、ハワイの事故の後、視界不良着陸の上限を35秒にしました。マニュアルをあとから書き換えるのは欠点を 認めたに等しいことです。パイロットの間からは不満の声が出ています。

 当サイトを検索すると、これら以外にもオスプレイの問題を知ることができます。そういう機体を日本はなんの疑問もなく導入 しようとしています。導入しても運用には大きな制約があります。結局、他のヘリコプターを追加で導入するしかなくなるのは目 に見えており、これは無用な防衛費の浪費であり、日本の防衛力をより小さくする原因にしかなりません。

 


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