ハンター下院議員が死体と写真撮影で物議
military.comによれば、ダンカン・ハンター下院議員(Rep. Duncan Hunter)の、彼が海兵隊将校として勤務する間に写真のために死んだ敵戦闘員とともにポーズをとったという主張は、軍や連邦の刑法で起訴されることはないと、軍法の専門家3人は火曜日にいいました。
カルフォルニアの共和党員のハンターは2017年に海兵隊予備役を少佐として退役しました。
「彼がしたことはまったく馬鹿げていますが、犯罪行為かといえば、そうは思いません」と、元海兵隊の法務部長で、ウェストポイント士官学校で軍法の非常勤教授を務めるゲーリー・ソリス(Gary Solis)は言いました。
「犯罪行為となるためには、単に死体と写真をとるだけでなく、死体を辱めるような、もっと多くのことをする必要があります」とソリスは言いました。「このケースでは、(ハンターの)それを行ったという断定は必ずしも犯罪ではありません」。
「私は彼が(統一軍規法典に)問われないと考えます」と、イェール大学で軍法を教え、バウ・バグダール陸軍軍曹(Army Sgt. Bowe Bergdahl)の弁護団を務めたユージーン・フィデル(Eugene Fidell)は同意しました。
フィデルは「説明された行為は将校としての彼の立場を危険な状態に陥れたものの、(ハンターが)認めた行為は連邦法の戦争犯罪法(the War Crimes Act)の範疇に入らない」のが彼の意見だと言いました。
ヒューストン(Houston)の南テキサス法大学(the South Texas College of Law)の教授、ゲオフリー・コーン(Geoffrey Corn)は、先週土曜日に市役所の会合で行った、野戦砲兵将校として勤務中に敵戦闘員の死体と写真を撮ったというハンターの声明に関して似た見方をしました。
ハンターは海軍シールズのエドワード・ギャラガー(Edward Gallagher)への支援を示そうとして声明を出しました。ギャラガーは彼が2017年にイラクで負傷して拘束した敵戦闘員を刺殺したことを含めて、様々な容疑で高等軍事裁判にかけられています。ギャラガーに対する訴因の一つは、彼が死体とともに自撮りを行ったと主張します。
サンディエゴ・タイムス紙(the Times of San Diego)とサンディエゴ・ユニオン・トリビューン紙(the San Diego Union-Tribune)によれば、市役所で、ハンターはギャラガーの写真に言及し、「我々の多くがまったく同じことをしています」と言いました。
「エディ(ギャラガー)は一つまずいことをしました。私も有罪になる、死体と写真をとり、なにかバカなことをいうことです」と彼は言いました。
イラクとアフガニスタンで2回遠征したハンターは、海外にいたときにまったくそれと似た写真を撮ったと言い、容疑がかけられているギャラガーの写真に言及しました。彼は彼の写真がイラクやアフガンのどちらで撮影されたかを特定しませんでしたが、彼は写真を送信したり投稿しなかったと付け加えました。
ハンターの声明にコメントして、コーンは電子メールで、戦争犯罪法は「特定の戦争犯罪について連邦刑事裁判権を与えますが、私の見解では、この(ハンターの写真が)死者を敬意をもって扱う習慣上の義務に反するかもしれませんが、多くのいくぶん複雑な法律の障害のために、この規則の下で戦争犯罪として起訴されることはないと考えます」と言いました。
海兵隊報道官のブリアン・ブロック少佐(Maj. Brian Block)は、海兵隊はハンターの意見を承知していると言いながらも、予備調査があるかの情報は提供しませんでした。
ハンターのカルフォルニア州の事務所はコメントを求める電話や電子メールに直ちに返答しませんでした。この議員はすでに、イタリアへの休暇旅行のような選挙資金の個人的使用での流用のため広範囲の詐欺罪で連邦の刑事告発の下にあります。彼は7月に法定審問を受け、秋に裁判になる可能性があります。
ハンターの意見への反応は、それが彼のツィッターのアカウントへの投稿で判断できるならば、ほとんどが否定的でした。
「選挙資金を盗んで起訴されているときに、行き当たりばったりに戦争犯罪を認めるとは。大したもんだ」とある者は言いました。別の者は「あなたの軍務に感謝する」と言いました。
国防総省の戦争法マニュアルによれば「死者を尊厳を持って扱うことは戦争法における最も古い規則です。敵兵の死体は不敬または下劣な行為から守られなければなりません」。
マニュアルは「写真のために死体にポーズをとらせるとか死体の上に名刺を残すことも死者を尊厳を持って扱うことに反します」と付け加えます。
先週、USAトウディ(USA Today)の意見記事の中で、ハンターはギャラガー、マット・ゴルシュタイン陸軍少佐(Maj. Matt Golsteyn)とその他の戦争犯罪で起訴された者たちはドナルド・トランプ大統領(President Donald Trump)の恩赦に値すると書きました。
彼は事件は軍検察官が戦争法の執行よりも昇進とセンセーショナルな見出しに取り憑かれたときに起きる紛れもない実例だと言い、「トランプによる恩赦は完全に正当化されます」と付け加えました。
日本への旅行に出発する前、先週金曜日にホワイトハウスで記者たちへのコメントとして、トランプは「これらの兵士の何人かは激しく、長く戦った人たちです。我々は彼らに偉大な戦闘員になる方法を教えます。それから彼らは戦い、しばしば彼らは本当にとても不公正に扱われます」と言いました。
「だから、我々はそれをちょっと見るつもりです」と大統領は言いました。「私は裁判を続かせ、そのあとで私が決断をすることは高い可能性があります」。
ギャラガーやゴルシュタイン少佐の事件は当サイトでも過去に紹介しているものです。拘束した負傷している敵兵をナイフで刺殺した事件です。ゴルシュタイン少佐の事件は拘束していた爆弾犯を殺害したというものでした(関連記事はこちら)。
みんなやっていることだから問題ないというのは、理解できない話です。
確かに、敵兵の死体の写真に関しては、過去に多くの事件が起きて、当サイトでは繰り返して紹介してきました。検索すれば、多数の記事がみつかります。
その中には軍法裁判が開かれて有罪判決が出た事例もあります。敵兵の死体に放尿して写真撮影をして罰金と降格の処罰を受けた事例があります。(関連記事はこちら)
裁判になるかどうかは、死体を損壊するなどの具体的な行為があるかで判断されるようです。
多くの兵士が死体の写真を集めて、それを仲間内で交換しあっていることもわかっています。あまりものを考えない若い兵士がすることです。
単に写真を撮るくらいなら有罪にはならないとはいえ、部下に模範をみせる立場にある将校が違反するのは、当然、望ましくないことです。しかも、連邦議員の立場にある者がそんなことを言うのは、当然、倫理に反します。
こういう挑発的な行為は敵を怒らせ、さらなる報復を招くことを知るべきです。ハンター議員は前からこの手の発言を繰り返していて、当サイトでも取り上げている人物です。
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