ハッチンズ軍曹の仮釈放が取り消しに
military.comによれば、イラク人を虐殺した件で有罪判決を受けたローレンス・ハッチンズ3世3等軍曹(Sgt. Lawrence Hutchins III)について、米海軍は仮釈放の申請を時期尚早だとして却下しました。
海軍副長官、ファン・ガルシア(Juan Garcia)は火曜日、早くて2015年7月に釈放される予定のハッチンズ3等軍曹を現時点で仮釈放することは時期尚早であると言いました。ハッチンズ3等軍曹は、2006年に52歳のイラク人男性、ハシム・イブラヒム・アワド(Hashim Ibrahim Awad)をハムダニヤの彼の自宅から誘拐し、水路に連れて行って殺害した8人の分隊を指揮して有罪になりました。
ガルシアは事件を完全に再調査し、刑務所での彼の善行を「彼の復帰願望の証拠」と呼び、称賛すると言いました。しかし、「ハッチンズ2等兵(判決により2等兵へ降格)の犯罪行為は有罪判決を下されました。それは、彼を十分に処罰し、他の者が似たことをするのを思い止まらせるために継続して監禁することを必要とします」。
ハッチンズ3等軍曹は昨年、裁判開始直後に彼の主任弁護士が辞めたため、2007年の裁判は不当だったとして、軍の下級裁判所がイラク人男性の死についての有罪判決を覆した後で釈放されました。軍の控訴裁判所は1月に、問題は有罪判決を覆すほど重大ではないとして、決定を覆しました。
海軍当局者は、犯罪の重大性と事件を隠蔽しようとした虚偽性のため、仮釈放を却下したと言いました。彼の分隊の他の海兵隊員6人と海軍衛生兵は18ヶ月未満を服役しました。
彼の弁護士、バブ・カザ海兵予備役少佐(Marine Reserve Maj. Babu Kaza)は、決定が政治的に動機づけられており、司法に基づいていないと言いました。カザ弁護士は、レイ・メイバス海軍長官(Navy Secretary Ray Mabus)が不法に事件に介入し、ハッチンズの釈放に不当な裁定を下すよう将校に影響を与えたと主張し、軍事法廷で争う予定だと言いました。メイバス長官は、事件は戦いの霧の中では起こらず、慎重に計画された攻撃と隠蔽だったと言いました。
事件の裁判の記事はこちら(1・2・3・4・5)。
ハッチンズ3等軍曹は、禁固15年の判決を受け、二等兵への降格と不名誉除隊という判決を受けました。ハッチンズ自身は、判決に納得していないようです。
メイバス長官が「戦いの霧」と言っているのは、多分、2005年に起きたハディーサ事件とこの事件を区別するためでしょう。ハディーサ事件では、IED攻撃を受けた海兵隊部隊が、付近を捜索する内にイラク人24名を殺害した事件です(関連記事はこちら)。この事件では、海兵隊は戦場の混乱が事件を導いたとして、被告たちを守ろうとしました。私はハディーサ事件も虐殺だと思いますが、ハッチンズ3等軍曹のハムダニヤ事件は明らかな謀殺であり、計画殺人でした。しかし、ハッチンズは自分が政治的に抹殺されようとしているとか思っていません。過去に、彼はメイバス長官が自分を捕まえたがっていると言いました。しかし、私にはメイバス長官の事件への姿勢は間違っていないと思えます。
判決は2007年8月に出たので、2015年は禁固15年の約半分です。軍刑務所では、真面目に服役すれば、最短でこれくらいで出所できるのでしょう。しかし、2等兵に降格され、恩給が出ない不名誉除隊では、海兵隊にこだわる理由はないも同然です。ハッチンズが無罪だと主張し続ける理由は、私にはよく分かりません。
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