長官訪問はやはり空港貸与問題

2012.3.15


 military.comによれば、レオン・パネッタ国防長官は水曜日に、マナス空軍基地(Manas Air Base)の貸与について話し合うためにキルギスタンを訪問しました。

 マナス空軍基地の貸与は2014年7月に終了します。この基地はアフガニスタンへの補給の主要ハブとして機能しています。パキスタンが国境を閉鎖してから、米軍はさらに空輸に依存するようになり、食料や装備品の輸送コストは5倍に増加しました。

 航空機が兵士を輸送したり、マナス基地に着陸しなくても、燃料給油機はキルギスに配備されていて、アフガンへの飛行を支援しています。昨年、マナス基地の燃料給油機は4,786回の給油飛行を行いました。

 1,500人を越える兵士と、請負業者が燃料給油機KC-135の活動を行っています。部隊は毎月数千トンのアフガン行きの貨物を管理します。

 アメリカはキルギスに毎年6000万ドルを基地使用料として支払います。2009年にキルギスは使用料を1700万ドルから6000万ドルに引き上げる前に基地を閉鎖すると脅しました。

 キルギス指導者は7月を過ぎて貸与を延長する気はないとしており、防衛アナリストは使用料をあげる別のパワープレイかロシアの圧力ではないかと言います。

 マナス基地が利用できないと、アフガン撤退を半年間まで早めなければならないかも知れないとアナリストは言いました。米軍がイラクから撤退するのには1年間かかりました。イラクではクウェートの港が使え、兵士は大量の輸送隊を使うのに慣れていました。撤退の後半の半年間にマナス基地が使えないと、アフガン撤退をかなり困難にするとアナリストは言いました。


 また、キルギスの基地使用でもめ事です。この問題は過去に紹介してきました。(記事はこちら 

 パネッタ長官がキルギスに向かう理由は補給路の問題以外に考えられません。長官自ら赴くのは、米政府が問題を重要視しているからに他なりません。撤退のために空路を確保するためには、パキスタンが国境を再開しても、マナス基地は不可欠です。ルートは複数用意する必要があるからです。

 多分、使用料の値上げで、事態は収まると思われます。アメリカはたかられながらアフガンから引き上げて行く訳です。

 パキスタンの国境閉鎖は、予期しない米軍のパキスタン軍前哨基地への誤爆が原因でした。いまや、アメリカは目的になかったことへの対処に忙殺されています。

 この教訓は忘れるべきではありません。日本も自衛隊の海外派遣で、いつこうした問題に直面するとも限りません。理不尽なことが次々起こるのが戦争なのです。


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