ゲーツ元国防長官の日本評
産経新聞によれば、ゲーツ米元国防長官が14日に発売した回顧録「デューティー(任務)」で、韓国の盧武鉉(ノムヒョン)元大統領を「反米的で、おそらく、ちょっと頭がおかしい」と断じ、韓国で波紋が広がっています。
ゲーツ氏は2007年11月に会談した際、現職の大統領だった盧氏が「アジアにおける安全保障の最大の脅威は米国と日本だ」と述べたことを暴露し、盧氏を酷評した。
ゲーツ氏の批判に左派系のハンギョレ新聞は「大統領への露骨な非難は非常に異例で、度を越えた」と指摘。保守系紙の朝鮮日報の論説委員もコラムで「同盟国の大統領をひどい言葉で非難するのは苦々しい」と反発し、同紙の一般記事も発言が「今後、波紋を呼びそうだ」と問題視した。
この記事を読んで、日本についてゲーツ氏が何と書いているのかが気になりました。入手済みの電子本を「japan」というキーワードで検索したところ、特に大きな非難は書いていないないらしいことが分かりました。自国の評判ばかり気にしても意味はないのですが、ゲーツ氏はCIAの叩き上げで、政治的には保守派です。そういう彼が日本をどう見ているかは気になります。
この本は早く読みたいのですが、まだほとんど手つかずです。何か他にも重要な記述があるのかも知れませんが、とりあえず見つかったものの中で、気になるのは一つくらいでした。
見つかった文章は、第6章「Good War, Bad War(よい戦争、悪い戦争)」の中の「ブッシュ大統領が私(ゲーツ)に、兵士をよこさない同盟国、日本に、一例としては、アフガニスタン軍の訓練と装備に最資金を提供させなければならないと言い続けた。結果は最小限だった」という部分です。他にも検索で出てきた文章はありますが、当時の小泉政権に対する評価に関係するのは、これくらいのようです。正確にいつの話かは書いていないものの、2008年後半らしいことは分かります。ブッシュ政権は2009年1月20日に終わったので、割と政権後期の話です。この頃は日米関係は盤石と日本で信じられていた時期です。
結局、日本は米政府から見て、お財布代わりにしか思われていないということです。蜜月に見えた小泉総理とブッシュ大統領との関係も冷めたもので、ブッシュはさらに日本に協力を求めていたというわけです。
先に、日本では、この本がオバマ政権を痛烈に批判していると報じられましたが、それは別に驚くようなことではありません。保守派のゲーツをオバマ大統領が留任させたこと自体が驚きでしたし、ゲーツ氏もブッシュと共に政権を去るつもりでした。この本はオバマ政権だけを批判しているのではなく、国防総省などの官僚主義も批判しています。その一部はすでに報じられており、当サイトでも紹介していました。
ジョン・マケイン上院議員がリビア革命の時に、飛行禁止区域の設定を否定したゲーツ氏を批判した件(関連記事はこちら)。具体的には書いていませんが、ゲーツ氏が同性愛禁止撤廃を加速するよう指示した件(関連記事はこちら)。2010年に統合戦力軍を廃止しようとした件(関連記事はこちら 1・2)。クラスター爆弾の子弾の起爆率を99%以上にするよう指示した件(関連記事はこちら)。B-52爆撃機に誤って核爆弾が搭載されたことなどで、空軍参謀長と空軍長官が辞表を出した件(関連記事はこちら) 。軍の官僚機構を削減しようとした件(関連記事はこちら)。IED対策にMRAP装甲車を導入しようとしたところ、軍に反対された件(関連記事はこちら)。
ゲーツ氏の決断が周囲と相反したことは数限りなくあるのです。だから、彼がオバマ政権に対して不満があったとしても、まったく疑問に感じません。彼は必要だと思ったことはやろうとした人ですから。
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