選抜徴兵局が1800年代生れの男性へ通知を誤送
military.comによれば、アメリカの選抜徴兵システムが誤って1893年から1897年の間に生まれたペンシルベニア州の男性14,000人に、連邦軍への徴兵登録を命じ、そうしないと罰金と収監が与えられると警告しました。
当局は、先週、当惑した親族から電話を受けて間違いに気がつきました。
キングストン(Kingston)のチャック・ヒューイ(Chuck Huey)は、1894年生まれで1995年に百歳で死んだ祖父、第一次大戦の退役兵、バート・ヒューイ(Bert Huey)に宛てた通知を受け取りました。
問題は元々、ペンシルベニア州運輸局が40万件の記録を選抜徴兵局に送った時に起きたと判明しました。州のデータベースの職員が、1993年から1997年の男性の記録を作るために世紀を選択せず、一世紀前にしたと、運輸局の広報、ジャン・マクナイト(Jan McKnight)は言いました。
選抜徴兵局は最初、州が二桁の誕生日コードを使っていたためにデータを受け取れなかったと、パット・シューバック(Pat Schuback)は言いました。連邦当局は1800年代生まれの男性の記録、27,218件を特定し、6月30日に通知を郵送しはじめ、7月3日に家族から電話を受け始めました。その時までに、14,25人分の通知が誤って送られました。「これが過去に起きたことはありませんでした」とシューバックは言いました。
最も若い者が今年117歳になるため、大半の男性は死亡しています。通知を受け取った家族は無視して構いませんと彼は言いました。彼らのファイルは使用中止となり、選抜徴兵局からさらに連絡を受けることはないでしょう。同局は木曜日にウェブサイトに通知て謝罪も掲載しました。
州運輸局は、間違いを繰り返さないための措置をとったと言いました。
記事は一部を紹介しました。
アメリカは志願制をとっていますが、徴兵制は消滅したわけではなく、復活する必要が生じた場合に備えて、登録自体は継続しています。そのため、該当する人に登録を通知することになっているのです。
事件はこういうことでしょう。運輸局の職員が世紀を選択しなかったため、1800年代と1900年代の両方の該当するデータが選ばれたのです。年のデータは西暦の下二桁だけだったので、選抜徴兵局はすべてのデータが1900年代生まれのものと判断し、データをそのように書き換え、読み込んだのです。その結果、1800年代の人に通知が送られたというわけです。
事件は大きなことではありませんが、日本が戦争に荷担する可能性が増えたいま、似たようなことが起きる危険性を認識する必要があります。
当サイトでは、アメリカで起きた様々類似事件を紹介してきました。
ドーバー空軍基地で、英霊の遺体に不適切な処置が行われていた事件があります。遺体から骨が飛び出し、制服を着せられない状態だったため、遺族に許可なく、骨を切断した事件(記事はこちら)。焼却処分した英霊274人分の遺灰を埋め立て地に投棄し、所在が分からなくなった事件。アーリントン国立軍人墓地で、墓地の地図に多数の誤りが見つかり、ひとつの墓に遺体が2つ埋葬されたり、埋葬記録が捨てられたりしたなど、不適切な処置が発覚した事件(記事の一例はこちら 1・2)。
宗教的な事件もあります。戦没者の追悼施設の中に設置したキリスト教系の像と旗が問題視されたことがあります(記事1・2・3)。
この種の事件は戦争をする国では、不可避的に起こります。日本でも、戦時中、家族の遺骨が返ったので骨箱を受け取りに行ったら、中には名前を書いた紙しか入っていなかったといった話があります。その人は骨箱を橋の上から川へ投げ込んだといいます。私も先日、東京の千鳥ヶ淵にある戦没者墓苑を訪問したところ、生け花の大家が生けたという生花がほとんど全部枯れているのを見て失望を覚えました。
人の生死に関わることで、こうしたミスがあると、人々の感情が傷つくのです。日本が戦争をする道を選択するのなら、こういう事件は必ず増えます。いまから心の準備をしておく必要があることに気づいている人はいるのでしょうか。
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