「The Sentry」報告書 ポール・マロン・アワン大将(3)

2016.10.1


 「The Sentry」報告書の南スーダン政府軍参謀長、ポール・マロン・アワン大将(Gen. Paul Malong Awan)に関する部分の日本語訳の第3回目です。今回紹介するのはグレー表示された部分のジョク・リアク将軍の解説で、41〜42ページです。(報告書の原文はこちら

ガブリエル・ジョク・リアク将軍(Gen. Gabriel Jok Riak)

  • SPLAの第3、第4、第5師団を指揮する第一区の指揮官はガブリエル・ジョク・リアク将軍である。
  • 彼はアメリカと国連が南スーダン紛争を拡大、延長した行動に関与したとして制裁を科されている6人の1人でもある。
  • 特に、ジョク・リアク将軍は複数の停戦違反を犯し、100,000人以上を難民にさせ、重大な戦争犯罪を命令した2015年の3州にわたる総攻撃の指揮をとった。
  • 「Human Rights Watch」が収集した目撃者証言は第一区に展開した兵士の行為(老女を死ぬまで殴打、性暴力、略奪、破壊)を詳述した。
  • 銀行の記録はジョク・リアク将軍は2014年2月から12月までだけで「Kenya Commercial Bank」の個人口座に少なくとも総計367,000ドルの送金を受け取った。
  • 彼の公式な年俸は35,000ドルである。
  • 銀行記録によれば、総計49,000ドルの支払いが、大統領府で顧問を務める者と名前を共有する個人から、南スーダンで営業するケニヤの多国籍企業、国で最大の石油・燃料企業「Dalbit International」から追加の308,524ドルが来ている。
  • これらの支払いは彼が制裁に指名される前に起きたようであるが、南スーダン軍の将軍、国の石油分野と直接につながりがない者が、外国石油会社からかなりの支払いを受けたようにみえるのはなぜかという合理的な疑問を生じさせる。

  • 調査員が「Dalbit International」に接触した時、この会社は支払いについて説明した。
  • 2004年前半、「Dalbit」は第2区のワウ州(Wau)でディーゼル燃料を補給するためにSPLAに接触され、それは支払い遅延の経歴のために辞退した。我々は補給の前に前払いを求めた。この辞退の結果として、SPLAは2014年3月6日に280万ドルを支払った。
  • しかし、支払いの上で、SPLAは製品を、当時深刻な紛争が進行中だったユニティ州(Unity)へ配送するよう求めた。
  • 「Dalbit」のチームはこの極度に危険に気がつき、配送は失敗した。
  • それは純粋にチームが配送できなかった紛争のためである。
  • 「Dalbit」はすでに燃料のための税金を支払っていたが、彼らは払い戻しを命じ、下記の通り、金を払い戻すための3つの口座を与えられた。
  • (1) 「Abukruel International Group」 149万南スーダン・ポンド
  • (2) ウォンニ・マヨン・デン(Wouni Mayom Deng・原文のまま)10万南スーダン・ポンド
  • (3) ガブリエル・ジョク 309,524米ドル 2014年7月3日付け。小切手番号000579で支払い。
  • これはビジネス上の商取引でも、「Dalbit」と将軍との関わり合いでもなかった。

  • ウォンニ・マヨン・デンはバングラデシュのダッカ(Dhaka)に拠点を置く、現在まで軍事訓練と教育担当の南スーダンの将官の名前と同じでもある。
  • 「Abukruel International Group」は南スーダンの送金会社である。

  • 制裁はジョク・リアク将軍が旅行し、金を動かす能力を中断させた。
  • しかし、彼に科された制裁の実行に重要な過ちがあるようにみえる証拠を発見した。
  • 国連安保理は2015年7月1日、彼を制裁下に置いた。
  • これらの制裁は、資産凍結、旅行禁止を含み、効果的に彼を南スーダン国外へ旅行するのを禁止し、国外の彼の資産すべてを凍結した。
  • ジョク・リアク将軍は、少なくとも2015年の夏後期を通してケニヤの銀行口座を維持し続けている。
  • この口座は制裁指定の数日後のジュバで7,500ドルの引き出しを含めて、制裁の後も稼働し続けた。
  • 2016年8月、情報筋数名は、ジョク・リアク将軍がポール・マロン大将の家の隣にあるカンパラの住居を維持し続けていると述べた。

  • カンパラのジョク・リアク将軍の家は彼の名前で登記されていない。
  • 家の譲渡証明書は、アドリアン・ムビル(Adrian Mubiru)という名前のウガンダ人が所有することを示す。
  • 銀行記録はジョク・リアク将軍が2014年11月から2015年2月までに総計210,000ドルを、アドリアン・ムビルの名前で送金したことを示す。
  • アドリアン・ムビルの連絡先を入手したり、これらの支払いの理由を特定することは出来なかった。

これまでに訳した報告書の目次は以下のとおり。

 概説
 南スーダンの内戦
 キール大統領(1)
 キール大統領(2)
 キール大統領(3)
 レイク・マシャル
 ポール・マロン・アワン大将(1)
 ポール・マロン・アワン大将(2)

 南スーダン政府の実態を知ったら、派遣部隊の隊員はやる気を失うのではないかと思います。もう知ってるかも知れませんが。彼らがインターネットを利用できる環境にあるのなら、当サイトが少しでも役に立つことを願います。

 


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