「The Sentry」報告書 総括部分(3)

2016.10.10


 「The Sentry」報告書の総括部分の日本語訳の第3回目です。今回紹介するのは「コラテラルダメージと予想外の結果の軽減」で、54~55ページです。 …続く

3.コラテラルダメージと予想外の結果の軽減

 南スーダンに対するこうした圧力すべてを向けることが、金融機関、特にアメリカ、ヨーロッパ、アジア国内のそれらに、南スーダンの口座保持者とビジネスをすることのリスクがあまりにも高いと判断するために、南スーダンから削減される多くの手段を生じることに注意しなければなりません。ディリスキングとして知られるこのプロセスは発展途上国の多く、特にアフリカとカリブ海で重要な問題です。

 以下の手順はディリスキングの可能性を軽減するのを助けます。

 米当局は南スーダンのロンダリング懸念先の性質について、具体的で透明でなければなりません。ディリスキングを防ぐために簡単な解決はありませんが、問題を調査した国際機関とオブザーバーは2つの主要な要素、第一に「リスクの性質、特に司法権や商取引の種類について、政府による特異性」、そして、第二に「顧客、特に懸念先のものの銀行システム内の情報の有効性」に集中します。これを達成するために、FinCENと潜在的にその他の世界中の関連金融情報機関は銀行コミュニティにガイダンスを出さなければなりません。銀行が厄介な融資のリスクを防ぐ努力の中で、すべてのマネー・サービス・ビジネス(MSB)を削減しないことを確実にするためにFinCENが用いるモデルは、こうした明白な声明を前提として、特に現実の問題に直結します。「FinCENは示されるリスクやリスクを管理する銀行の能力を問わずにMSB口座を大規模に打ち切ることを支持しません」。前述のように、MSBは程度の異なる危険性を示し、そして、すべてのマネー・サービス・ビジネスがハイリスクというわけではありません。従って、MSBの顧客にサービスを提供するかどうかを決めるとき、金融機関は特定のMSB顧客に関連するリスクを評価しなければなりません。

 同じことは南スーダンの顧客にとって真実で、同様のガイダンスが必要です。

 このガイダンスは不十分であり、財務省は特定の銀行ルートにゴーサインを出す方法を特定することを考えなければなりません。南スーダンのロンダリングの関心を考えると、米議会は十分な銀行サービスが南スーダン国民に利用できるままであることを確実にするために状況を監視もしなければなりません。

 FinCENは、南スーダン関連の顧客に対して手頃なコストで効果的なデュー・ディリジェンスを行う銀行の能力を向上させるために手順を踏まなければなりません。たとえば、FinCENは2014年に人身売買から生じたマネーロンダリングのリスクについて詳細なガイダンスを出しました。FinCENは人身売買令に似た規定で南スーダンにガイダンスを出さなければなりません。これは手頃なコストで効果的なデュー・ディリジェンスを行う銀行の能力を向上させます。加えて、アメリカとヨーロッパの銀行は共有の顧客確認のプラットホームを作るためにKCB及びその他の機関と直接活動しなければなりません。そこで重要な顧客データが機関を横断して見ることができます。ディリスキングの主原因の一つは、応答する銀行の顧客データにアクセスするコルレス銀行の能力がないことであり、それら共有プラットフォームの種類は重要な構成要素になり得ます。主要銀行はすでにこうした共同作業は「ウォルフスバーグ コルレス銀行のためのマネーロンダリング対策の原則」を通じて概説されています。アメリカに拠点を置く銀行は愛国者法第314条(b)項を、FinCENに彼らがそうしていると通知した後で、彼らがこの種の情報共有で協力するのを可能にします。援助国政府はFATFとESAAMLGのような組織と同じく、政治的意志と必要なら資金提供と共に、この努力に貢献するよう要請されなければなりません。


これまでに訳した報告書の目次は以下のとおり。

 概説
 南スーダン内戦
 キール大統領(1)
 キール大統領(2)
 キール大統領(3)
 レイク・マシャル
 ポール・マロン・アワン大将(1)
 ポール・マロン・アワン大将(2)
 マレク・ルベン・リアク中将
 総括(1)
 総括(2)

 「ウォルフスバーグ コルレス銀行のためのマネーロンダリング対策の原則」のリンクは、たまたまこのガイダンスの日本語訳があるのが分かったので追加したもので、原文にはありません。

 今回は特にコメントしません。


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